これまで世界各国のグラフィックデザインやタイポグラフィに関する話題を取り扱ってきた小誌であるが，1953年の創刊時に目指されていたのは、戦後日本の高度経済成長を見据えて，モノだけでなくコトに着目できるデザイナーを育てるための議論の場をつくることだった。雑誌名の「アイデア」にもそんな想いが込められているわけだが，そこから約70年の歳月を経て社会が成熟し，機能や品質，造形的な美しさだけでは市場に溢れる商品やサービスの差別化が難しくなっている現代において，＂コト＂をどのようにデザインするかというデザイナーの職能はますます求められているだろう。そうしたデザインの実践の場のひとつが，本特集で取り上げるブランディングデザインという領域だ。